壁がふくらんできた! 保証や対処法は? 自分で直せる?
外壁の一部がふくらんでいる、または浮いているのを見つけたことはないでしょうか。
ふくれや浮きは経年劣化によるものと、塗装の施工不良によるものでその原因が異なります。
この記事では、外壁のふくれや浮きの原因とその状態をくわしくご紹介するとともに、補修の際の費用相場についてもお伝えします。
目次
1.外壁のふくれや浮きの種類と原因
外壁のふくれや浮きはなぜ起こるのでしょうか。
その種類と原因、またふくれや浮きが生じやすい状況とその理由についてご紹介します。
そもそもふくれとは?
「ふくれ」という言葉通り、外壁の一部がぷっくりとふくれ上がっている状況です。
ふくれの大きさは小さいもので1㎝程度、大きなものでは数㎝ほどのものもあります。
通常、ふくれは外壁の表面の塗膜の下になんらかの原因によって空間ができることで塗装面がふくらむ現象です。
「塗膜が浮いている」「塗膜の浮き」などと表現されることもあります。
外壁のふくれには、「水ぶくれ」「水蒸気ぶくれ」「気泡」などの種類があります。
外壁のふくれや浮きの種類と原因
① 水ぶくれ
水ふくれの原因の多くは塗膜内部に侵入した雨水です。
経年劣化により塗膜の防水機能が弱まったり、クラックと呼ばれる小さなひびが入ることによって、その隙間から雨水などが侵入したりします。
塗膜の内部に水が溜まると水ぶくれが発生します。
また、水ぶくれの状態では、塗膜の表面は乾いても、内部はずっと濡れている状態になるため外壁材そのものにも悪影響を及ぼす恐れがあります。
② 水蒸気ぶくれ
塗膜内に雨水が侵入し、その水が蒸発するときに塗膜を押し上げてふくれるのが水蒸気ぶくれです。
侵入した雨水が少量であっても、蒸発すると体積が大きくなるため、大きなふくれや浮きにつながる場合があります。
③ 気泡
塗膜が完全に乾燥する前に表面が先に固まってしまい、内部で塗料の水分が蒸発することによる小さなふくれが発生することがあります。
こうした気泡によるふくれは、泡のように細かなふくれであることが特徴です。
④ コケ・カビ
外壁に発生するコケやカビが要因となり、ふくれや浮きにつながる場合があります。
クラックなどから侵入したコケやカビの胞子が、時間とともに塗膜の層の隙間で成長することにより、塗膜の経年劣化を早め、ふくれや浮きが生じます。
ふくれが生じやすい状況と対策
① 経年劣化
外壁のふくれや浮きは、経年劣化によるものが最も多いとされています。
経年劣化によって塗膜の防水機能が十分発揮できなくなることで、雨水が侵入したり、内部にコケやカビが生えたりします。
塗膜の品質はおよそ10年で劣化するといわれます。
新築や前回の塗り替えから10年以上経過している場合は、経年劣化によるふくれが生じやすくなりますので、早めに塗り替えを検討することをおすすめします。
② 塗料の問題
弾性の強い塗料や蓄熱性の高い塗料は、ほかの塗料より塗膜のふくれが生じやすい特徴があります。
弾性の強い塗料はよく伸びるため、クラックなどのひび割れが生じにくいというメリットがありますが、熱に弱く、外気温が高いとふくれが生じやすいというデメリットがあります。
黒など濃い色の塗料などは太陽光により蓄熱しやすく、日当りのよい面に色の濃い塗装を施工するとふくれが生じやすくなります。
下塗りの塗料と、上塗りの塗料の相性がよくない場合、密着度が低く、塗膜の剥がれや浮き、ふくれにつながることがありますので、塗料の選定も大切です。
また、塗料の希釈が適切でない場合や塗料を厚く塗り過ぎた場合にも、塗膜の剥がれやふくれにつながることがあります。
塗料の扱いに精通した業者に依頼するようしましょう。
③ 外壁材の問題
外壁材そのものが蓄熱しやすい素材である場合に、ふくれが生じやすくなります。
特に窯業系サイディングに、熱に弱い弾性の強い塗料や蓄熱性の高い塗料を施工した場合は、塗った後に外壁材の熱でふくれてしまうことがあります。
またハウスメーカーによっては、表面や構造に特殊な加工を施した難付着サイディングと呼ばれる特殊なサイディング材を使用している場合があります。
こういった外壁材の場合には、一般的な工法での外壁塗装では塗膜の密着がしづらく、ふくれが発生しやすくなります。
こうした問題を避けるためには、ハウスメーカーの住宅について塗り替え経験が豊富な業者に依頼することが大切です。
④ 施工の問題
外壁塗装工事の際に、塗料の密着が不十分でふくれが生じることがあります。
塗料の密着が不十分になる要因としては、「洗浄不足」「下地の補修処理の不足」「乾燥不足」などがあります。
外壁塗装をする前には、高圧洗浄で表面の汚れやコケ・カビを落とす工程があります。
しっかりと落としきらないと、汚れが付着した部分には塗装がきちんと密着できずに塗膜がふくれやすくなります。
塗装前の洗浄をしっかりと行うことが大切です。
下地の補修処理とは、くぎ穴やクラックの補修、塗料の密着がよくなるように表面をあえて凸凹にするケレン作業などです。
処理が不十分だと、塗料がしっかり密着しません。
乾燥不足では、最初の洗浄後に外壁材が湿ったままの下塗り塗装や、下塗り・中塗り・上塗りそれぞれの塗装工程後の乾燥時間が不十分な場合、密着後に内部の水分が蒸発し、水蒸気ぶくれや気泡によるふくれが発生することがあります。
丁寧な施工をしてくれる業者に依頼することが大切です。
塗膜のふくれの多くは経年劣化によるものであるため、一定の年数が経過すると発生しやすくなる現象です。
施工不良の場合は保証で修繕できる場合もありますので、施工店に問い合わせるとよいでしょう。
2.ふくれや浮きの対処法と費用相場
ここからは、ふくれや浮きの対処法と費用相場についてご紹介します。
ふくれや浮きを放置するとどうなる?
ふくれや浮きを見つけたら、できるだけ早く対処するのがおすすめです。
なぜなら、ふくれや浮きが起きている場所のみが密着不足になっているのではなく、その周囲も密着してない可能性が高いためです。
そのままにしていると、少しのきっかけで塗膜が剥がれてしまい、そこから雨水が侵入して外壁材がボロボロになるなど不具合箇所が広がる恐れがあります。
ふくれや浮きの対処としては、範囲を慎重に選定して不良箇所を剥がし、完全に除去した状態で下塗り・中塗り・上塗りと通常の塗装の工程と同様に行います。
再発防止のためには、専門業者に依頼することをおすすめします。
ふくれや浮きは自分で対処できる?
ごくごく小規模な浮きなら自分で対処できる可能性もありますが、上述でも触れた通り、施工不良はさらなる不具合につながる恐れがあります。
きちんと対処するためには、専門業者に依頼するのがよいでしょう。
ふくれや浮きの対処法
ふくれや浮きを補修するには、古い塗膜を剥がすところからはじまります。
古い塗膜を完全に取り切り洗浄し、しっかりと乾燥させて下塗り・中塗り・上塗りの工程で仕上げていきます。
適切な洗浄と十分な乾燥がポイントです。
部分補修の費用相場
ふくれや浮きが部分的な補修で済む場合の費用相場は次の通りです。
補修内容 | 費用 |
ひび割れ | 約1,600円~2,500円/1㎡ |
ふくれや浮き | 約1,600円~5,000円/1㎡ |
全体補修の費用相場
全体補修が必要な場合の費用相場は次の通りです。(※足場代別途)
補修内容 | 費用 |
塗装 | 約1,600円~5,000円/1㎡ |
張り替え | 約6,300円~8,500円/1㎡ |
重ね張り | 約6,500円~9,300円/1㎡ |
3.まとめ
今回は外壁のふくれや浮きの原因とその状態、自分でできる対処法や補修の際の費用相場についてご紹介しました。
経年劣化によるふくれや浮きはメンテナンスのひとつとして計画すべきことではありますが、塗装したばかりであっても施工不良によりふくれや浮きが発生することもあります。
不要な費用をかけないためにも、外壁塗料は、塗装の仕方や塗料の選び方などをきちんと対応してくれる信頼できる業者を選ぶようにしましょう。