「外壁が反ってきた?」気になる「浮き・割れ・欠け」の原因と最適な補修方法をくわしく解説
何気なく家の外回りを見たとき、外壁に「反り」や「浮き」「割れ」「欠け」が生じていませんか?
このような現象は建物の劣化の兆候であり、早めの対処が必要です。
この記事では、反りや浮き、割れ、欠けなどが生じやすい窯業系サイディングの特徴、劣化の原因、補修方法、張り替え費用などについてくわしく解説します。
外壁の寿命を延ばし、お住まいを守るために、ぜひお役立てください。
目次
1.窯業系サイディングの特徴とメリット・デメリット
一般の戸建て住宅だけでなく、倉庫、商業店舗など、窯業系サイディングはさまざまな建物に広く使われている外壁材です。
どのようなメリット・デメリットがあるか、また、窯業系サイディングの不具合で起こりやすい特徴などをご紹介します。
窯業系サイディングとは
窯業系サイディングは、主原料であるセメントに繊維質などの素材を混ぜて加工した外壁材です。
形成される過程で高熱処理をするため、窯(かま)を意味する「窯業」が用いられています。
国内の低層建築物のシェアは非常に多く、7割を超えるといわれています。
一般的には板状に作られており、厚さは14mm~26mmとさまざまです。
表面の柄はタイル調やレンガ調、木張り調などバリエーションも豊富で、あらゆるイメージに対応できるのが窯業系サイディングの強みといえるでしょう。
窯業系サイディングのメリット
デザインとカラーのバリエーションが豊富であることは、窯業系サイディングの大きなメリットのひとつです。
モダン、西洋クラシック、和風などさまざまなスタイルに対応できる柔軟さがあります。
施工がしやすく短期間で工事できるため、比較的工程が多い左官壁(漆喰・モルタル等)よりもコスト面でも安くなる傾向があります。
また、耐火性が高く、準防火地域などで対応できる点もポイントです。
窯業系サイディングのデメリット
セメントが主原料となる窯業系サイディングは、防水性がやや弱いため、メンテナンスとして塗装が必要になります。
また、外壁材の間に使われるシーリングや外壁材を止めるビスなども劣化するため、長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必須です。
素材そのものに蓄熱性があるため、夏場は外壁材の温度が上昇し室内に影響しやすい傾向があります。
室内環境を安定させるには、メンテナンスの際に遮熱効果のある塗料などを活用することを検討するとよいでしょう。
窯業系サイディングの不具合の特徴
窯業系サイディングで起きやすい不具合には、「反り」「浮き」「割れ」「欠け」などが挙げられます。
経年劣化などにより外壁材の撥水効果が低下してくると、雨水などの水分・湿気を吸収しやすくなり、反りや浮きの要因になりやすい傾向があります。
また、地震や強風などで建物に振動があると、割れや欠けなどにつながる可能性があります。
不適切な施工が原因となり、劣化が早まることもあります。
一般的には施工性がよく、職人の質に左右されにくいのが窯業系サイディングですが、悪質な業者による不適切な施工で不具合が起こることも少なくありません。
よくある質問①「台風で飛来物がぶつかった場合の割れ・欠けは火災保険で直せる?」
台風や地震などの自然災害が要因となり、外壁に不具合が発生したときは火災保険の対象となるケースがあります。
加入している保険内容にもよりますので、補修業者に相談することをおすすめします。
2.窯業系サイディングに起きる不具合の原因と補修方法
窯業系サイディングに起きる不具合の原因と、その補修方法についてお伝えします。
反りの原因と補修方法
窯業系サイディングの反りは、劣化した表面やひび割れの隙間などから水分や湿気が侵入し、変形することが要因となっています。
不具合の箇所を特定し、補修材の充填と塗装コーティングをします。
浮きの原因と補修方法
浮きも反りと同様に劣化・ひびなどからの水分等の侵入のほか、シーリング材の劣化や留めているビスの劣化が要因となることがあります。
不具合が起きている箇所を特定し、シーリングの打ち直しやビス留め、補修材の充填・塗装などを行います。
割れの原因と補修方法
外壁は地震や台風などの振動で割れることもありますが、経年劣化や施工不良が原因で割れることもあります。
また、サイディング同士の継ぎ目にあるシーリングは、劣化するとひび割れを起こすため定期的なメンテナンスが必要です。
外壁が割れているときは補修材を充填し、シーリングの割れは打ち直してから塗装仕上げをします。
欠けの原因と補修方法
外壁の欠けは、劣化によるものと地震など建物の振動によるものなどが要因となります。
劣化では、水分や湿気が侵入し表面がもろくなることが欠けにつながります。
欠けた部分には補修材を充填し塗装コーティングが一般的ですが、劣化がひどい場合には外壁材を張り替えることもあります。
よくある質問②「補修と張り替えはどちらがよい?」
補修と張り替えのどちらがよいかを一概に判断するのは難しいですが、補修箇所の範囲が少ない、または劣化の程度が軽いなら「補修」がおすすめです。
しかし、補修箇所が多い、または補修しても劣化を止めるのが難しいなどの場合は「張り替え」がよいでしょう。
判断のポイントは、劣化が内部まで影響しているかどうかです。
内部まで影響していると、建物そのものの劣化につながってしまうため、一度外壁材を剥がす必要があります。
劣化がどの程度なのかを自己判断をするのは難しいため、しっかりと判断できる優良な業者に依頼すると安心です。
3.窯業系サイディングの張り替え・補修費用の目安
ここからは、窯業系サイディングの補修や張り替えの費用相場と、張り替えを行う場合の判断基準などについてご紹介します。
部分補修と張り替えの費用の目安
補修内容 | 費用相場 |
シーリング打ち | 増し打ち:800円/m 打ち替え:1,500円/m |
塗装 | 55万円~130万円 |
部分張り替え | 10万円~50万円 |
張り替え | 180万円~270万円 |
重ね張り(カバー工法) | 140万円~250万円 |
補修と張り替えの判断基準
補修か張り替えかの判断は不具合の程度によるところが大きく、判断基準としては以下の2点が挙げられます。
- 補修+塗装で外壁材が持つか
- 不具合が内部に影響しているか
外壁がどのような状態であるかを判断する必要があります。
塗装メンテナンスをしても外壁材が内部からボロボロになっているなら、メンテナンス後も長くは持ちません。
また、雨水の侵入が内部まで届いていると建物本体にも影響があります。
自分で判断するのは難しいため、必ず専門の業者に依頼するのがよいでしょう。
シーリングの増し打ち・打ち替えによる保全
近年は耐久性のある窯業系サイディングも増えて、持ちも向上しています。
ただし、サイディングの目地に使われているシーリング材は、外壁材とは劣化進度が異なるため、外壁材そのものに問題がなくても定期的なメンテナンスを行うのがよいでしょう。
シーリングのメンテナンスを早めに行うことで、ひび割れから水分が侵入するのを防ぎ、結果的に内部から外壁材が劣化するのを避けられます。
適切な外壁塗装による防水性能の保持
窯業系サイディングの撥水効果が薄れると、水分や湿気を含みやすくなり劣化が早まります。
10年程度を目安に防水効果のある塗装を行うことで、耐久性を保つことが可能です。
窯業系サイディングの耐久性を保つには定期的なメンテナンス塗装が有効です。
よくある質問③「補修後の耐久性はどの程度か?」
窯業系サイディングの補修施工をしたとしても、それが永久に保たれるわけではありません。
シーリング材も塗装もやはり10年程度で劣化がみられるため、長い耐久性を確保するには定期点検と適切なメンテナンスが必要です。
4.まとめ
今回は、外窯業系サイディングの反りや浮き、割れ、欠けなどの不具合の原因や補修方法、費用目安などについてご紹介しました。
窯業系サイディングの品質も向上しているとはいえ、10年程度を目安に不具合のチェックやシーリングの状態などを点検することが大切です。
早めの対処で外壁材の寿命は全く変わります。
自分で判断することなく、信頼できる優良な専門業者に点検を依頼し、適切な対応をしてもらいましょう。