東北大学大学院経済学研究科 地域イノベーション研究センター【塾生インタビュー】
東北大学大学院経済学研究科
地域イノベーション研究センター
塾生インタビュー
志賀塗装株式会社 代表取締役社長 志賀晶文
■RIPSに入塾したきっかけを教えてください。
志賀晶文さん(以下志賀):東日本大震災だと思います。私はいわき市で事業を行っているのですが、いわきは、震災直後も、その後の復興も、とても大変でした。ありとあらゆるものが崩れ去って、それまでの考えが通用しない世の中になったと感じました。一生懸命やってもうまくいかないことが多くて。そんな時に、藤本雅彦先生がいらっしゃるセミナーに参加したんです。そのセミナーで先生が「今の状況のままで、10年後、会社が存続していると思いますか」とおっしゃって。私はその言葉にとても考えさせられましたし、正直、不安だなと思いました。しかし、不安だなとは思っても、当時の私には新しい何かを生み出すための知識がありません。自分の事業の価値をとらえ直し、消費者に価値を提供するためにはどうしたらいいか、しっかり学びたいと考え、RIPSに入塾することを決めました。
■志賀さんは、郡山のサテライトキャンパスで受講なさいました。通うのが大変だとは感じませんでしたか?
志賀:どうしても外せない事情があった1回を除いて、全て出席しました。やり遂げるのは大変ではありましたが、RIPSにはそれに見合う価値があると思っています。オンラインの通信環境もばっちりでしたね。講師陣の熱意や会場の雰囲気も良く伝わってきました。講座の内容は翌日中であれば録画で見ることができたので、何度か授業の復習に活用しました。内容をよく理解することで、次の授業も興味を持って参加することができたと感じています。
■RIPSを受講して、なにが一番印象にのこっていますか。
志賀:なんといっても「ビジネスモデルキャンバス」です。使い方を学び、実際に書いてみて、私はこのやり方を学ぶためにRIPSに通ったんだと確信しました。ビジネスモデルキャンバスは、事業の価値やターゲットユーザー、収益についてなど9つの項目を完全に埋めないと完成させることができません。ビジネスモデルキャンバスを通して、自分の事業である「塗装」について、腰を据えて考えることができました。
2020年から、中古住宅の仲介とセミリノベーションをワンストップで行う「わが家」というサービスを始めたのですが、この事業は、RIPSに通っていた時から考えていたものです。卒業までにまとめることができなかったのですが、その後もビジネスモデルキャンバスを書き直し、藤本先生に見せる、を繰り返しました。最終版が完成したのは、「わが家」をリリースする1か月前です。フォロー面談の中で、権先生に言っていただいた「このビジネスはうまくいくよ!」という言葉は、今でも自信になっています。
■RIPSでの学びを、新事業にも活かしているのですね。ほかにも印象に残っている講義はありますか?
志賀:そうですね。「イノベーション」という言葉にも、納得がいく答えを得られたなと思っています。イノベーションは、アイディアや新事業とは違います。塗装店が飲食店をやるというような飛躍ではなく、あくまでも自社の価値や強みを活かすのがイノベーションなんです。そいういう答えを見いだせたのは、藤井辰紀先生の「眠れる資源を活用する」という授業です。これこそがイノベーションの本質だと感じ、鳥肌が立つほど感動しました。
■後輩にメッセージをお願いします。
志賀:志が高い仲間と一緒に過ごすことができたのは、とてもいい糧になったと思います。最終プレゼンに向けて議論を深めるのも、仲間と一緒でなければ実現できなかったと思います。RIPSのカリキュラムを完遂するにはそれなりの覚悟が必要ですが、こんな時代だからこそ、経営者はバランスよく学ぶことが大事です。RIPSの経験を経て、今私は「無知はコスト」だなと確信しています。業務をかいくぐって学ぶ時間のコストより、知らずに遠回りするコストの方がよほど高い。RIPSは一度入塾すれば、学びの期間はもちろん、卒塾したあとも仲間や先生と有益な関係を続け、さまざまな情報をキャッチし続けることができます。ぜひ思い切って入塾して、学びを深めてほしいですね。私も、年齢がもう一回りしたら、もう一度入塾してみたいなと思っています(笑)。
(東北大学大学院経済学研究科 地域イノベーション研究センター塾生インタビューより http://rirc.econ.tohoku.ac.jp/interview/detail-,-id,1084.html)