【2025年最新】外壁塗装の適正価格と費用を抑える工夫

近年、塗装工事の費用が高騰していると感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、2025年の公共工事設計労務単価が引き上げられたことが背景にもなり、価格にも影響しています。
この記事では、外壁塗装の費用構成や価格相場、また2025年の最新情報を元に、適正な価格の考え方をご紹介します。
これから外壁塗装を行う方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
目次
1.外壁塗装の費用は何で決まる?

そもそも、外壁塗装の費用はどのような基準で決まっているのか、費用の構成や市場相場、労務単価の影響など、外壁塗装のもととなる部分についてご紹介します。
(1)外壁塗装費の基本構成
外壁塗装の費用は、次のような内訳で構成されています。
材料費
材料費には、塗料やシーリング充填材、下地材のほか、養生シートや飛散防止ネット、ローラー刷毛などの道具類が含まれます。
塗料の種類により費用が異なり、施工面積によっても変動する部分です。
人件費
人件費は、作業をする職人さんの労務費です。
1人工(にんく)として労務費を積算することが多く、工事を完了するまで何人工が必要かによって費用が異なります。
1人工の単価は、主に基準となる労務単価をもとにしています。
足場代や高圧洗浄などの付帯費用
外壁塗装は高所作業となるケースが多いため、足場代がかかります。
施工面積が少ない場合でも、作業する箇所によっては足場代の差はあまり変わらないこともあります。
塗装前の高圧洗浄作業も付帯費用に含まれます。
業者の運営費や諸経費
施工現場までの交通費や手配のための通信費、会社運営費などの諸経費と、会社の利益部分も含めて諸経費分として計上されます。
業者によってある程度自由に設定できる部分でもあるため、金額調整として使われる項目でもあります。
作業内容とは別の部分として捉えて諸経費を無理に値引きすると、工事の品質を落とすリスクもあるため、適正価格を維持することは大切です。
(2)塗料の値上がりと価格相場
材料となる塗料の値上がりはなぜ起こっているのか、その要因として次の項目が挙げられます。
材料費の高騰
物価高騰は、塗装の材料費においても例外ではありません。
原油価格は高値が続き、輸送コストの値上がりも材料費の高騰に影響しています。
今後の景気動向次第ではありますが、現段階では未だ高騰が続きそうです。
塗料別の最新価格相場
塗料の種類によって価格相場が異なります。代表的な塗料の特徴と価格相場は次の通りです。
アクリル塗装
アクリル樹脂を主成分とする塗料です。
安価で扱いやすい塗料ですが、耐用年数は3~8年程度と外壁で使うにはメンテナンスサイクルが短いことが特徴です。
価格相場 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料
ウレタン樹脂を主成分とする塗料です。
密着性に優れ、細かい部分の施工性もよく、素材を選びません。
耐用年数は5~10年程度で光沢感があるのが特徴です。
価格相場 | 1,700~2,600円/㎡ |
シリコン塗料
シリコン樹脂を主成分とする塗料です。耐久性もあり、費用対効果に優れます。
耐用年数は7~15年程度で、外壁に使われることが多い塗料です。
価格相場 | 2,200~3,600円/㎡ |
フッ素塗料
フッ素樹脂を主成分とする塗料です。
耐熱性や耐寒性に優れ、耐候性が高いため気象条件が厳しい地域にもおすすめです。
耐用年数は12~20年と長く、ビルなど商業建築物でも使われています。
価格相場 | 3,400~5,000円/㎡ |
無機塗料
無機物と有機塗料を混合した塗料です。
耐候性が高く、持ちがよいのが特徴で、耐用年数は10~25年です。
価格相場 | 3,400~5,500円/㎡ |
ラジカル塗料
劣化の要因にもなる紫外線や酸化の影響を受けにくい塗料です。
耐候性が高く、劣化の進行が抑えられているのが特徴です。耐用年数は8~15年です。
価格相場 | 2,000~4,000円/㎡ |
遮熱・断熱塗料
遮熱や断熱効果がある塗料です。塗装することで室内環境は夏涼しく冬は暖かくする効果があり、結露防止も期待できます。
耐用年数は10~20年程度で、耐久性に優れます。
価格相場 | 2,200~4,600円/㎡ |
(3)【2025年最新版】労務単価の改定内容とは?
令和7年2月14日に国土交通省から発表された、令和7年3月から適用される「公共工事設計労務単価」については、以下の通りです。

労務単価とは?
労務単価とは、優れた職人さんの人件費の最低基準の目安単価です。
基準単価よりも著しく下回る単価の場合は、職人の技術や施工品質が悪くなるリスクがあります。
労務単価は13年連続の引き上げ
業界の技術者不足もあり、労務単価が13年連続で引き上げられています。
福島県の令和7年の塗装工の公共工事設計労務単価は32,000円で、令和6年の30,700円から1,300円の引き上げとなっています。
全国職種単純平均でも、前年度比で6.0%引き上げられています。
直近10年間の塗装工の単価推移
2025年4月を基準に過去10年間の塗装工の労務単価の推移をみると、どの地域でもゆるやかな右肩上がりが続いています。
特に東京での基準単価が高く、次いで仙台、名古屋、大阪、札幌、新潟、福岡、高松、広島となっています。
2.2025年の外壁塗装の適正価格はいくら?

最新の外壁塗装の適正価格はどれくらいが妥当なのでしょうか。
塗装費用の算出は、坪数換算と塗装面積換算の大きく二つに分けられ、どちらの考え方を選択するかは業者によります。
ここでは、坪数換算の費用相場と部分補修の費用相場をお伝えします。
(1)外壁塗装の費用相場(坪数ごと)
10坪 | 20万~45万円 |
20坪 | 40万~75万円 |
30坪 | 60万~110万円 |
40坪 | 70万~140万円 |
50坪 | 90万~170万円 |
60坪 | 110万~220万円 |
70坪 | 130万~250万円 |
100坪 | 180万~350万円 |
(2)外壁+屋根塗装の費用相場(坪数ごと)
10坪 | 40万~75万円 |
20坪 | 70万~115万円 |
30坪 | 80万~130万円 |
40坪 | 90万~140万円 |
50坪 | 110万~190万円 |
60坪 | 140万~220万円 |
70坪 | 150万~250万円 |
100坪 | 220万~350万円 |
(3)部分補修の費用相場
ひび割れ | 1,700~2,600円/㎡ |
シーリング | 打ち替え:700~1,300円/m 打ち増し:500~900円/m |
雨漏り | 5万~60万円(範囲・内容による) |
サビ取り | 400~2,100円/㎡ |
ひび割れ補修は、「ヘアクラック」と呼ばれる塗膜にひびが入っている状態の補修費用になります。
下地や構造体にまでひび割れが到達している場合、作業内容により費用が異なります。
ひび割れ深度の診断は難しいため、業者に調査を依頼しましょう。
また高所の場合、別途足場代がかかります。
3.外壁塗装の費用を抑える工夫

価格高騰が続く塗装工事ですが、次のような点に気をつけることで費用を抑えることが期待できます。
(1)劣化のサインが出たら、早めの塗り替え
ヘアクラックやチョーキング(外壁を触ると手に粉がつく状態)など、劣化のサインを発見したら出来るだけ早めの塗り替えがおすすめです。
色あせやくすみ、ツヤがなくなってきたなど、劣化の進行が気になったときに行うのがポイントです。
早めに対応することで、大掛かりな修繕工事になるのを防ぐことができます。
(2)塗料のグレードや色数を調整
塗装費用を抑えるには、安い塗料を選択すれば価格にも反映されます。
しかし、安い塗料は耐久性が低く、メンテナンスサイクルが短いというデメリットがあります。
長い目で見たときには、メンテナンスサイクルが長い塗料のほうがメリットを感じられるケースもあります。
現在の劣化状況や塗り直し範囲などを検討しながら選びましょう。
(3)外壁と屋根を同時に塗り替える
外壁と屋根を同時に塗り替えるのは、足場代を浮かせられる方法として知られています。
足場は塗装工事のたびに必要になるため、外壁と屋根の塗装を同時に行うことで、費用をまとめられるメリットがあります。
(4)補助金・助成金・火災保険などの活用
省エネ工事を対象とする補助金・助成金、または火災保険を活用するのもおすすめです。
断熱リフォームなどの補助金対象の工事とともに、外壁や屋根塗装をすることで全体の費用を抑えられます。
火災保険の活用では、台風や大雨被害などの修繕の際に火災保険を使いつつ、一緒に塗装工事をすることも可能です。
(5)優良な業者を選ぶ
優良な業者を選ぶことも、費用を抑える方法のひとつです。
信頼できる業者が施工することで、品質も確保できることや万が一のメンテナンスも相談できます。
いろいろな相談ができることで最適な施工方法のアドバイスも期待できるため、結果的にコストパフォーマンスのよい仕事が出来る可能性が高いでしょう。
優良業者の見分け方としては、見積書の明細がしっかりと細かく記載されていること、自社施工であること、塗料の種類とメーカーが適切であること、保証内容や実績が明確であること、補助金活用の経験があること、登録事業者であることなどです。
自社施工がよい理由は、中間マージンがない分、費用を抑えた見積もりが期待できるためです。
4.よくある質問

Q1. 外壁塗装の見積もりで労務単価は見える?
見積書に「人工」という形で記載されている場合があります。
見積もりの見方がわからない場合は、依頼する業者に確認しましょう。
Q2. なぜ相見積もりが重要なの?
相見積もりを取ることで、内容や単価の妥当性を比較することができます。
適正価格かどうかを判断しやすくなります。
Q3. 労務単価が上がると、すべての塗装工事が高くなる?
労務単価以外にも、材料費や燃料費の高騰もあり、原則的にコストは上昇傾向です。
業者ごとの経営努力や施工方法でも差は出ますが、価格競争のために、必要な工程や品質を削っていないか注意が必要です。
補助金の活用経験が豊富な自社施工の業者に依頼するなど、適正価格内で余分なコストを省ける業者選びが大切です。
5.まとめ

外壁塗装の費用は、材料費、人件費、足場代や高圧洗浄費用、さらに業者の諸経費など複数の要因で構成されます。
塗料の種類や最新の労務単価も影響を与える中、適正な価格を知ることは施工の品質を確保するために欠かせません。
また、早めの塗り替えや塗料のグレード調整、補助金活用など、費用を抑える工夫も大きなポイントです。
信頼できる業者を選び、適正価格での工事を進められるようにしましょう。