カバー工法って本当に大丈夫?よくある6つの疑問を解説!

屋根や外壁のリフォームを検討している方の中には、費用を抑えながら手軽に工事できる方法として「カバー工法」を耳にしたことがあるでしょう。
カバー工法は、既存の屋根や外壁の上に新しい素材を重ねることで、撤去費用を削減し、工期を短縮できるため、住宅などで採用されることもあります。
たしかに工期などのメリットはありそうですが、「カバー工法って本当に大丈夫?」「手抜き工事にならない?」など、疑問や不安を持つ方もいらっしゃいます。
そこで今回は、カバー工法に関するよくある疑問・不安を6つピックアップし、それぞれのポイントをわかりやすく解説します。
施工を検討している方はぜひ参考にしていただき、カバー工法を正しく理解して、おうちの状況に合うリフォームを選択しましょう。
目次
1.カバー工法とは?|基本をわかりやすく解説

カバー工法とは、既存の屋根や外壁をそのまま残し、上から新しい屋根材や外壁材を重ねるように施工する工法です。
一般的な葺き替えや張り替えと異なり、解体撤去の工程を省いて施工できるため、工期の短縮やコスト削減が期待できます。
(1)屋根カバー工法
既存の屋根の上に、新しい屋根材を重ねる方法です。重ね葺きともいわれます。
スレート屋根やコロニアル屋根など屋根材として軽量であり、劣化が進んで脆くなっているときなどに採用されることがあります。
(2)外壁カバー工法
既存の外壁の上に、新しい外壁材を張る方法です。重ね張りともいわれます。
既存の外壁の解体撤去コストを削減でき、外観イメージを向上させることができます。
(3)葺き替え・張り替えとの違い
葺き替えや張り替えは、既存の屋根材や外壁材を撤去して、まったく新しいものに交換する工法です。
カバー工法は撤去作業を省いており、工期短縮や廃材処理費用なども抑えられるメリットがあります。
(4)対応できる屋根・外壁の種類
カバー工法で対応できる屋根や外壁は限られています。
屋根の場合は、スレートやコロニアル、金属屋根などです。外壁の場合は、金属系サイディングなどです。
ただし、劣化が激しい場合や構造的な問題がある場合は、施工できないこともあるため、事前調査が大切です。
2.プロが解説!カバー工法のよくある6つの疑問と注意点

カバー工法にはコスト面などのメリットもありますが、カバー工法ならではの注意点もあります。
ここでは、よくある6つの疑問について解説します。
(1)「耐震性が落ちるのでは?」
カバー工法では既存の屋根や外壁の上に新しい材料を重ねるため、物理的に重量が増加します。
特に木造住宅では、耐震性への影響を考慮し、事前調査を行った上で適切な素材を選ぶことが重要です。
(2)「雨漏りが悪化しない?」
既存の屋根や外壁の不具合、劣化状態を確認せずに施工すると、雨漏りのリスクが高まります。
そのため、すでに雨漏りが発生している場合は施工方法を再検討する必要があります。
雨漏りが発生していなくても、施工前に専門家による診断を受け、不具合箇所については適切な補修を行うことが必要です。
(3)「内部の劣化に気づけない?」
カバー工法は新しい屋根材や外壁材で上から覆うため、内部の劣化が見えにくくなる可能性があります。
通気が悪いと内部でカビが発生するリスクもあるため、通気性を確保するための設計や適切な施工が求められます。
(4)「見た目は安っぽくならない?」
既存の屋根・外壁の素材によっては、カバー工法をしていることがあきらかにわかる場合がありますが、デザイン性に優れた外壁材や屋根材を選ぶことで、美観的に影響なく施工することも可能です。
ただし、高級感を出すために重量が出て耐震性に影響したり、材料費が上がってコストが高くなったりする可能性もあるため、デザイン性と機能性、予算とのバランスが大切です。
(5)「寿命は短くなるのでは?」
不具合の修繕や適切な施工・メンテナンスを行えば、カバー工法でも耐久性を確保できます。
特に金属系の屋根材や外壁材は、定期的な塗装メンテナンスで長期間での耐久性が期待できます。
ただし、通気などの適切な処置を行わないで重ね張りした場合は、内部でカビや劣化が進行することがあります。
建物の構造を傷めたり、住む人の健康に影響することもあるため、注意が必要です。
(6)「本当にコストは安いの?」
カバー工法は解体撤去部分が不要なため、葺き替えや張り替えに比べてコストを抑えられることが期待できます。
ただし、既存建物の状態によっては不具合があったり、耐久性への配慮が必要だったりして、補修などの追加費用が必要になる場合や、カバー工法ができないケースもあります。
3.カバー工法ができないケースとは?

カバー工法は既存の屋根・外壁材の種類、劣化状況などによっては適用できないケースもあります。
カバー工法が難しい場合の事例をご紹介します。
(1)傷みが激しい場合
既存の屋根や外壁の劣化が著しく進んでいる場合、カバー工法では十分な補修ができないことがあります。
劣化が激しいということは、雨漏りなど構造的な部分にも影響している可能性があります。
そのままカバー工法を行ってしまうと、不具合に気付けなかったり、さらに劣化が進んだりする可能性がありますので、葺き替えや張り替えがおすすめです。
(2)原因不明の雨漏りがある場合
雨漏りの原因が特定できていない場合は、上から覆ってしまうカバー工法では根本的な要因に対処できなくなります。
雨漏りは放置すると構造体の木材などを劣化させるリスクが高まり、耐久性に大きな影響を及ぼす恐れがあります。
下地の構造体に問題があることも少なくないため、雨漏りしている場合は専門家による調査・診断を受け、カバー工法ではなく、まずは適切な補修を行うことが重要です。
(3)防火地域・準防火地域
防火地域や準防火地域では、カバー工法として使用できる屋根材・外壁材に制限がある場合があります。
その地域に定められた防火認定基準をクリアするなど、一定の制限がありますので、施工前に自治体の規制を確認し、適切な材料を選ぶことが必要です。
(4)プロの診断と見積もりが必須
カバー工法を検討する際は、葺き替えや張り替えをするときよりも、不具合などの事前調査・診断が重要になります。
調査を行わず、カバー工法をしてから不具合が発生すると、施工した素材をまた撤去しなければならないリスクも考えられます。
劣化の状況、使用できる素材の種類などカバー工法には一定の判断が必要になりますので、専門家による診断・見積もりを受けることが大切です。
建物の状態を正しく把握し、最適な施工方法を選ぶことで、長期的な安心を得ることができます。
4.よくある質問

Q1:屋根と外壁、両方一度にカバー工法でリフォームできますか?
可能です。一度に行うことで、足場設置などの費用を抑えることができます。
業者によっては別々に行う場合と分けてお見積もりをすることも可能です。
工事を依頼する際に相談してみましょう。
Q2:火災保険や補助金は使えますか?
一部のケースで対象になることがあります。
事前に自治体や保険会社に確認してみましょう。
火災保険や補助金を使った工事の経験が豊富な施工業者に相談するのもおすすめです。
Q3:施工中の騒音や日常生活への影響はありますか?
工事の内容によって、屋根・外壁ともに音や振動がある日も出てくる可能性があります。
工事予定の業者に、工程のくわしい説明を受け、スケジュール調整や対策を相談しましょう。
5.まとめ

カバー工法は、コストを抑えながら短い工期で屋根や外壁を新しくできるメリットがありますが、既存の素材や状態によっては、適用できない住宅や注意点もあります。
耐震性や雨漏りのリスク、見た目の質感などの疑問を解消しながら、適切な素材選びと施工方法を検討することが大切です。
また、カバー工法が適用できないケースもあるため、専門家による診断を受けることが欠かせません。
リフォームを成功させるためには、事前の情報収集と慎重な判断が重要です。
今回の解説を参考にして、ご自宅に最適なリフォーム工事を計画しましょう。