「なぜこんなに高くなったの?」塗り替え費用高騰の理由と今後の塗り替えタイミング

「数年前より外壁塗装の見積もりが高くなった」という声が全国で増えています。
その理由は、単なる物価上昇だけではありません。
塗料の原材料価格、人件費、施工環境の変化など複数の要因が重なり、外壁・屋根の塗り替え費用は年々上昇傾向にあり、今後も緩和される見通しではないことが予想されます。
本記事では、費用高騰の背景をわかりやすく解説するとともに、損をしない塗り替え時期の考え方や、費用を抑えるためのポイント、活用できる補助金制度について詳しくご紹介します。
目次
1.外壁塗装の費用が上がっている主な理由5つ

外壁塗装の見積もりが上がった背景には、複数の要因が絡み合っています。
それぞれの要因を詳しく確認していきましょう。
⑴塗料や資材の価格が高騰
塗料の主成分である樹脂や顔料は石油由来のものも多く、世界的な原油価格の高騰の影響は大きくなっています。
また、円安の影響で輸入原材料の価格は以前より上昇しています。
2022年以降、主要塗料メーカーは毎年のように値上げを発表している状況です。
⑵人件費の上昇
職人不足が深刻化し、熟練工の確保が難しくなっていることが人件費の値上がりに反映されています。
国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」も13年連続で上昇傾向となっており、関東エリアの塗装工単価は27,700~34,500円、東北エリアでも26,500~32,100円ほどとなっています。
⑶足場や運搬コストの値上がり
足場に使う鋼材価格は上昇し、ガソリン代・軽油代も高止まりしています。
運搬費用が施工費にも反映しているため、足場代は30坪住宅で平均20万~25万円程度が相場ですが、近年はさらに上昇傾向になっています。
⑷安全・環境基準の厳格化
労働安全衛生法に基づく足場設置基準の強化や、安全対策や環境配慮のための追加コストが施工費の増加につながっています。
夏場の作業員の熱中症対策が義務化され対策コストとしての経費も増えています。
⑸地域差・業者差も大きい
都市部は人件費・資材費が高く、地方との差が顕著に反映しています。
自社施工か下請け依存かによっても価格差が発生することがありますが、「安い見積もり」でも後から追加費用が発生するケースもあるため注意が必要です。
2.それでも「今、塗り替え」を検討すべき理由

費用が高騰しているからといって塗り替えを先延ばしにすると、劣化が進み、かえって負担が増える可能性があります。
今のタイミングで施工を検討すべき理由を整理してみましょう。
⑴これ以上の値上げが予想される
原材料・人件費の上昇は続いており、今後も値下げの見通しは薄いと考えられます。
そのため、早めに施工することで、将来のさらなる値上げを回避できます。
⑵外壁劣化が進むと、補修費が膨らむ
塗膜の劣化を放置すると傷みが進み、結果的に外壁材そのものの張り替えが必要になるリスクもあります。
初期対応が遅れることで、補修費が膨らむことにもなりかねないため、塗り替えは「予防修繕」として有効であると考えます。
⑶補助金・助成金を活用できるケースも
国や自治体の住宅リフォーム補助金を活用すれば、費用負担を軽減することが可能です。
補助金制度は、1年単位で行われる事業であるため、タイミングを逃すと制度そのものが終了する場合もあります。早めの検討が安心です。
3.費用を抑えるための4つのポイント

高騰する塗装費用を少しでも抑えるには、補助金や保険の活用、業者選び、塗料の選定などいくつかのポイントがあります。
⑴補助金や保険を活用する・組み合わせる
国や自治体が行うリフォーム補助金のうち、外装・屋根の改修工事が対象となる補助金を活用する方法があります。
断熱改修と塗装工事を組み合わせて進めることで、足場代や養生費が一度で済むため費用を削減できます。
また、保険が適用されるような修繕工事がある場合も、一緒に塗装工事を行うことで経費削減につながります。
⑵信頼できる自社施工業者を選ぶ
工事を計画する際には、必要に応じて相見積もりを取り、施工内容や費用を比較することもポイントです。
地域密着の地元業者であれば、アフターサービスの迅速な対応も期待できるため安心です。
⑶長期的な視点で塗料や塗装タイミングを選ぶ
塗装材は、使う種類によって耐久性が異なります。
フッ素塗料やラジカル塗料などは初期費用が高めですが、耐用年数が長く結果的にコスト削減につながります。
長持ちさせるにはメンテナンスを定期的に行うことが大切ですので、長期的な計画をしながら管理していきましょう。
⑷業者独自のキャンペーンを活用する
閑散期(夏・冬)は、費用を抑えて施工ができるメリットがあるほか、予定を決めて計画的に対応することが可能です。
また、新サービス導入時に割引キャンペーンを実施する業者もありますので、費用を抑えた施工方法を相談してみるとよいでしょう。
4.塗り替えに活用できる補助金制度

外壁塗装は高額な工事ですが、補助金制度を活用すれば負担を軽減できます。
ここでは、代表的な補助金制度と利用する際の注意点をお伝えします。
⑴子育てグリーン住宅支援事業
省エネ改修や子育て対応改修等を行うリフォーム工事に対して費用の一部を補助する制度です。
主に断熱改修・エコ住宅設備の設置などが挙げられます。
⑵塗り替え工事に補助金を活用するときの注意点
利用しようとする補助金で、塗り替え工事が対象となるか確認しましょう。
また、補助金は「申請前着工不可」が原則となります。必ず事前申請をして認定を受けてから工事に着手する流れです。
工期の計画は業者とも打合せしながら進めましょう。
補助金には予算の上限があります。
受付締め切り前でも予算に達した時点で終了することがありますので、早めの対応が大切です。
⑶2026年度にも塗り替えに活用できる補助金制度はある?
国の省エネ関連補助金は毎年更新されています。
今のところ2026年度も継続・拡充の可能性は高いことが予想されますが、最新情報は国土交通省や自治体公式サイトを随時確認しましょう。
5.よくある質問

Q1. 外壁塗装の費用はなぜ高くなっているのですか?
原材料(塗料・シーリング材など)の価格上昇に加え、職人の人件費や足場費用の高騰が主な理由です。
近年は円安や物流コストの影響も大きく、2022年以降、メーカーの値上げが毎年続いています。
Q2. 外壁塗装の費用はどのくらい上がりましたか?
一般的な2階建て住宅(30坪前後)で、3年前に比べて10~20%程度上昇しています。
特に高耐久塗料(フッ素・無機系)は上昇幅が大きい傾向です。
Q3. 今後も外壁塗装の価格は上がりますか?
はい。塗料メーカー各社が原料費や物流費の上昇により、年1回ペースで値上げを発表しています。
早めに見積もり・契約を行うことで、今の価格を据え置きできるケースもあります。
Q4. 費用を抑える方法はありますか?
あります。以下の3点を意識すると効果的です。
- 相見積もりを取り、適正価格を把握する
- 自社施工業者を選び、中間マージンをカットする
- 補助金・助成金制度を活用する(自治体による)
Q5. 外壁塗装の補助金は誰でも使えますか?
補助金が適用されるためには、さまざまな条件があります。
多くの自治体では、市内業者による施工や申請前の着工禁止など、応募の条件を満たす必要があります。
当年の補助金や助成金については、自治体や補助金に詳しい業者に確認しましょう。
Q6. 塗り替えのタイミングはいつがいいですか?
外壁の状態や塗料の種類にもよりますが、築10年前後が目安です。
また、価格上昇が続く中では「劣化が進む前に早めの相談」をすることで、補修費用を抑えられる可能性があります。
Q7. 外壁塗装の繁忙期・閑散期はいつですか?
春(3~5月)と秋(9~11月)が繁忙期で、予約が取りにくくなります。
一方、夏や冬の閑散期は閑散期のため予約が取りやすく、業者によっては値引き対応などのキャンペーンをすることもあります。
急ぎでない場合は、閑散期を狙うのもおすすめです。
Q8. 訪問販売業者の見積もりが高いのはなぜですか?
下請け構造による中間マージンが発生している可能性があります。
自社施工の地元業者に直接依頼すると、同じ塗料・工事内容でも安くなることがあります。
Q9. 値下がりを待ったほうがいいですか?
おすすめしません。価格が下がる見通しはなく、むしろ塗装費用は今後も上昇傾向です。
劣化が進む前に早めの施工を行うことで、トータルコストを抑えられます。
Q10. 外壁の劣化サインはどう見分ければいいですか?
以下のような現象が出ていれば塗り替え時期です。
- 外壁を触ると白い粉(チョーキング)がつく
- ひび割れ・コーキングの剥がれ
- 色あせ・カビやコケの発生
これらを放置すると、外壁の劣化が進み、補修費がかさむ恐れがあります。
6.まとめ

外壁塗装の費用が高騰している背景には、塗料や資材の価格上昇、職人不足による人件費増、足場や運搬コストの高止まり、安全・環境基準の強化など複数の要因が重なっています。
さらに円安の影響もあり、今後も値下げの見通しはほとんどありません。
しかしながら、費用が高いからと先延ばしにすると、外壁材そのものの劣化が進み、張り替えなど大規模修繕が必要となり、結果的に数十万円単位で余計な出費につながる可能性があります。
そのため「早めの塗り替え」が費用面でも建物保全の面でも有利です。
また、費用を抑えるには、国や自治体の補助金制度や保険を活用する、信頼できる自社施工業者を選ぶ、耐久性の高い塗料を選定するなどの工夫が有効です。
さらに外壁と屋根を同時施工すれば足場代を節約でき、業者独自のキャンペーンを利用する方法もあります。
正しい知識とタイミングを押さえ、補助金制度を上手に活用しながら、家計への負担を軽減し住まいを長く守っていきましょう。