外壁のひびが心配! ひびに雨水が入って凍る「凍害」と対策
外壁のひびを見つけたら、気をつけたいのが「凍害」です。
外壁の凍害とは、ひびなどから侵入した雨水などが凍ることにより起こります。
放置するとどんどん広がってしまう恐れがあるため、速やかに対処したい部分です。
今回は、凍害とはどのようなものが、また、放置することのリスクや凍害対策の費用相場とメンテナンス費用などについてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
目次
1.外壁のひびが心配! このままで大丈夫?
外壁にひびがあることで起こる凍害リスクとはどのようなものか、またひびを放置したときのデメリットをご紹介します。
寒い地域に起こる凍害
外壁の凍害は、主に建物の北面などで冬場に日が当たりにくく一日中低温で湿気の多い部分にあるひびで起こりやすくなります。
また、積雪地域では吹雪で雪が外壁に引っ付いたり、積雪が多く外壁のひびが埋まってしまったりしたときに起こることもあります。
凍害ということから寒冷地や積雪地に起こるものというイメージがありますが、冷たい北風が吹いている地域や日当たりの悪い箇所などでは、寒冷地以外でも日中の温度が上がらず凍害が起こることがあります。
凍害が起こるとどうなる?
水が氷になるときには、体積が増えて膨らむという特徴があります。
そのため、外壁のひびから侵入した水分が内部の隙間で凍結すると膨張し、外壁材を押し広げてしまうため、外壁材のひびが広がるなど素材を壊してしまうのです。
夜間に凍結した部分が、日中気温が上がると一旦とけて、夕方から気温が下がるとまた凍結するということを繰り返し、凍結のたびに外壁にダメージを与えます。
外壁の表面にひびがなかったとしても、凍害リスクはあります。
窓サッシの周りや外壁材の継ぎ目などは、シーリング材で処理されている部分です。
シーリングが劣化すると切れて隙間ができやすくなるため、そこから水分が侵入し凍結するとひびと同じように凍害が起こります。
外壁のひびを放置するデメリット
凍害が起こると、外壁のわずかなひびやシーリングの隙間から、ひびが広がっていく可能性が高くなります。
ひびを放置することで次のようなデメリットがあります。
雨漏り
ひびが広がると壁内部に水が浸入しやすくなり、雨漏りの原因になります。
腐食の要因にもなり建物の劣化を早めます。
シロアリの発生
壁内部に湿気がこもるとシロアリの住処になりやすく、建物の構造体など重要な躯体に被害が及ぶと建物の耐久性に問題が出てしまいます。
健康への影響
壁内部に湿気がこもるとカビが発生しやすくなり、室内にも広がることで家族の健康への影響も心配されます。
2.凍害が起きた場合の対処法と補修費用相場
凍害が起きた際には被害が広がらないように、できるだけ早めに対処することが大切です。
ここでは、補修方法と費用相場をご紹介します。
パテ補修、シーリング打ち替え
ひび割れの場合は、ひびを塞ぐためシーリングやパテなどを充填し補修を行います。
もろくなっている部分を剥がし、下地処理後に充填し同じ素材を張る場合もあります。
シーリング部分での凍害では、窓サッシ周りや目地部のシーリングの打ち替えや打ち増しをします。
打ち替えは一度シーリングを剥がして新たに充填するもので、打ち増しは既存のシーリングの上から充填するものです。
内容 | 費用相場 |
シーリング、パテ、モルタル補修 | 1,700円~2,600円/㎡ |
シーリング打ち替え | 900円~1,300円/m |
シーリング打ち増し | 700円~950円/m |
外壁塗装(塗り替え)
一部のサイディングが凍害によって剥がれてしまった場合などに、塗装仕上げでの補修を行います。
欠損部分の充填処理や部分的な外壁張り替え、シーリング打ち替え、下塗り、上塗りします。
- 外壁塗り替えの費用相場・・・90万円~100万円
サイディング張り替え
ひび割れや欠損部分の範囲が広く、充填補修や塗り替えでは対処できない場合には、外壁の張り替えをします。
凍害の範囲が広いと、壁内部への影響も高い可能性があるため、場合によっては断熱材や構造体の修繕が必要になることもあります。
一般的には、既存の外壁を剥がし、下地補修を行って新しく張り替えます。
- サイディング張り替えの費用相場・・・150万円~200万円
3.凍害予防のメンテナンス費用相場
凍害は自然災害のようなものとあきらめてはいませんか?
凍害といっても普段からのメンテンナンスにより、予防することが可能です。
定期点検
定期的に外壁の点検を行うことで、ひびやシーリングの劣化を早期に発見し、すぐに対処することで補修費用を抑えることができます。
身体の健康診断と同じで、早期発見と対処により未然に防ぐことや最小限の被害で済ますことが期待できます。
およそ10年前後での点検をおすすめします。
外壁塗装(定期)
サイディングなどの外壁材は、10年ほど経過すると劣化が進みます。
一般的には10年に一度程度の塗装メンテナンスが必要になります。
塗装メンテナンスをしていない外壁は保護されない状態が続くため、表面のみならず、壁内部にも影響を及ぼす恐れがあります。
小さなひびから大きな凍害へと進行しないためには、定期的に撥水効果のある塗料仕上げや防水塗料などでメンテンスしましょう。
塗料の種類 | 費用相場 |
ウレタン塗装 | 1,800円~2,600円/㎡ |
シリコン塗装 | 2,500円~3,600円/㎡ |
フッ素系塗料 | 3,500円~5,200円/㎡ |
無機塗料 | 4,000円~5,600円/㎡ |
シーリングの補修
定期的な外壁塗装の際には、シーリングも同時にメンテナンスするのがおすすめです。
外壁メンテンスは足場を施工しての作業となることが一般的であるため、塗装とシーリングのメンテナンスを別々に行うと、都度足場代がかかります。
塗装の際にひびやシーリングの補修も行えば、凍害の要因となるリスクが少なくなります。
内容 | 費用相場 |
シーリング打ち替え | 900円~1,300円/m |
シーリング打ち増し | 700円~950円/m |
4.まとめ
今回は、外壁のひび割れから起こる凍害について、凍害の特徴やなりやすい箇所、放置したときのリスクや補修方法と予防のためのメンテンス費用相場などについてご紹介しました。
気温がぐっと低くなる季節には、気付かぬうちに凍害になるリスクが高くなります。
高所部分は自分で確認することが難しい場合がありますので、10年程度経過した外壁の場合は、塗装メンテナンスを検討しつつ、専門業者に定期点検の依頼をしてみてはいかがでしょうか。